2009,10,18, Sunday
無垢材と集成材 2
無垢材と集成材どちらを選択したらよい?のつづき
①.『金物は、構造上重要な要素となり、適正な仕様・位置で使用する』について
(構造上、筋交いより先に構成するフレームが壊れないことが原則なので
柱と梁・土台の接合部は、重要な部分となります。)
無垢材の場合
無垢材の柱は、背割りが施され、狂いや割れを防ぐ等の役割を果たしています。
厳密に計算すると材断面欠損になるとも言えますが、
普通の住宅ならばあまり気にすることはないと思われます。
ここで問題となることは、背割りのあることにより金物の取り付け方向が
限定されてしまうことです。
例えば
ホールダウン(HD)金物のボルトは、背割りに垂直方向のみ
その他の金物も背割り側の取り付けは、端空きの確保が困難など
そこで木材の加工(プレカット等)の前に施工図にてチェックしますが、
その前の基礎工事の前段階から検討を始めないと規定どおりの仕様と
ならないことが往々にして起こります。
チェックすることは、鉄筋のかぶり・HD・BP・羽子板ボルト・背割りの
それぞれの位置関係をミリ単位で検討することですが・・・
その様なチェックする中で105角の柱では、仕様をクリアすることが難しく
120角の柱以上を推奨します。
又、施工誤差を加味すると隅部や耐力壁が直行する部分などは、120角より
大きな柱にした方が良いと感じています。
集成材の場合
無垢材同様のチェックをしますが、背割りがないことにより105角の柱でも
前記の位置を仕様どおりに納めることが可能なことが多くなります。
②.『構造的に継ぎ手は、無いに超したことはない』について
こんな事書きましたが、継ぎ手の無い住宅なんてまず無いと思っていますので
あしからず・・・・。
木材は、定尺(長さ)という規格に近いものがあり、基本的にその長さの
組み合わせにより住宅の架構を構成するという感覚があります。
定尺とは、一般的に3mと4m=柱長と梁長となり
一番需要のある長さになっているのでは? と勝手に思っています。
又、定尺内の寸法の材料は、その残りの部分が無駄になってしまう為
定尺本数で材積を見積もることが一般的か? と思われます。
(建て主側からすると使用されない材料(廃棄物)までお金を払う形になってしまう)
そこで いかに無駄にならない組み合わせを図面化するのですが・・・・
例えば 間口9m 奥行き7m の外周部の梁を考えると
(間口4.5間 奥行き3.5間 総2階 30坪程度を想定
分かり易くする為、メートルにしています。)
間口 9m=4m+4m+1m(残り3m)
奥行き7m=4m+3m(間口の残り)
という単純な組み合わせとなり、外周部で定尺4m×8本あれば足りる計算式が
成り立ちますが・・・・
ここに前回述べた耐力壁フレーム内に継ぎ手を設けない条件を加味すると、
上記の組み合わせは、う~ん・・・5m物がほしい と言うことに・・・
無垢材の場合
もちろん4m以上もあるのですが、材積に対する単価が非常に高くなる傾向にあります。
よって長尺物を多用することは、コストアップに繋がり、定尺物を多用した方が
安価になる傾向にあります。
そんな理由の為かどうか? 定尺物を片押しして残りとしている工事現場を
見ますが、耐力壁部分を無視した継ぎ手は、如何なものかと・・・。
集成材の場合
集成材は、製作する物ですから 運搬さえ可能ならば何mでも良いと思っています。
又、材積に対する単価は、長さに関係なく同額である傾向にあります。
長尺物は、集成材の方が使用のしやすさがあるか と思います。
(集成材にも定尺はあるのですが・・・)、
この回のまとめ
無垢材の場合の金物を適正な仕様・位置に使用することは、
設計者と施工者にそれなりの認識が必要である。
又、120角以上の柱の使用が望ましい。
(梁とも120幅になるのでコスト増)
その反面 集成材は、無垢材ほどの納まりを検討することがない。
(手間が掛からないほどコスト減)
構造フレームを考えると長尺物を重要な部分に使用した方が良い。
長尺物は、集成材の方がコストの面で有利。
今回だけの考察によるコストバランスは、集成材の方が良いのでは?
という事になるのかな。
-つづく-
| 建事一考::無垢材と集成材 | 03:30 PM | comments (0) | trackback (0) |
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