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耐力壁2

 
 一般的に使用される筋交い 幅90~105mm 厚み30~45mmについて
 
 
 
 
 
 

 
 木造在来工法の仕様規定による耐力壁は、規定壁量により定められています。
 単純に 壁倍率(壁の強さのような数値)×壁の長さの合計が
 規定壁量以上であればよいというものです
          (最低限の安全を担保されるらしい?)
 その他 四分割法等検討事項もありますが それは又後日とし
 その計算は、小学生程度の算数が理解できれば可能です。
          (あまり難儀にすると出来ない建築士が・・・という意図も見え隠れ??)
 
 在来木造は、大概3尺モジュール(910グリッド)を基本とし
          (メーターモジュールは、1,000グリッド)
 基本長さを1P(長さ910)と呼称されます。
 
 同筋交いを使用した場合(柱→∥ 筋交い→/ で表すと)
 2Pに筋交いを入れた場合
 ∥ / ∥(柱間が2P) と ∥/∥\∥(柱間1P+1P)
 は、仕様規定の壁量とすれば同量となり耐震性は同じとなるのですが
 実際は、違うということは周知のとおり?・・・ですかね。 
      (後者の方が良いです・・・建築技術者ならば当然のことなので理由は省きます。)
 そもそも筋交いは、耐力壁面線上に片筋交いをペア( / と \ 或いは \ と / )
 で使用する事を基本とし
 壁量計算の壁倍率が決定されていると想像されます。
 
 では ペアで使用するものとし
 ∥ / ∥(柱間が2P)  + ∥ \ ∥(柱間が2P)
 と
 ∥/∥\∥(柱間1P+1P)+ ∥/∥\∥(柱間1P+1P)
 ではどうでしょう。
 
 壁量同量ならば 柱と筋交い金物が少なく手間まで考慮すれば
 上記の方が良いのでは?
 ですよね。
 
 
 壁量計算は、柱間長さが1Pから2Pの間は
 壁倍率と長さのかけ算なので長さに対し比例関係にあるという理論
 
 つまり1Pの2倍の強さが2Pの筋交いという関係となるはずです。
 しかし、実験値ではそうとはならず
 2P筋交い < 2×1P筋交い(若干)  という結果となっています。
        (壁倍率換算では、仕様規定をクリアなのでよしとしている?
         実験も1Pが主で2Pのものが少ないのでは?その他???・・)
 この結果をどの様に解釈するか?
 が設計者の力量?
 
 その前に・・・
 筋交いが外力により変形し終局に至る過程での
 脆性破壊(折れてしまう様な壊れ方)は避けたいものです。
        (期待する耐力を得る前に壊れてしまうこと)
 木材は、脆性部材なので
 より脆性破壊をより助長する要因は、
 材自身の欠点である節と
 変形時に起こる座屈が
 主要因ではないかと思えます。
 
 節が欠点であることは、周知のとおりですが
 節のない構造材は集成材でない限り存在しないと断言できるほど
 当然有るものです。
 問題は、その節のある位置・・・・これも周知かな?
 大きな力の掛かる部分にあることは 百害あって一利なしでしょう。
 特に筋交いの様に材断面の小さいものは、その影響が大きいことは
 言わずとも理解できるかと思います。
 
 
 細長いものに圧縮方向の外力が加わると
 材が撓む様に変形することを座屈するといいます。
 一見、薄い板に重いものを乗せたときに起こる変形とよく似ていますが
 構造力学的には、座屈の方が難儀です。
          (よく判らないといった方が当意匠屋にはあてはまるかも) 
 ただ
 同材断面とするならば長さが長いほど座屈しやすい
 ということは誰しも理解できると思われ
 その様な変形を起こした時 急激な耐力低下と変形を伴うという
 経験をした方もあるのではないかと思います。
 
 
 
 構造的に座屈という変形は、急激な耐力低下と変形を招くので
 避けるということが大切
 と構造理論式が物語っていると思われます。
 
 
 
 
 節に関して
 
 筋交いは、一般的に構造材1等程度で
 節が少ないがあるものを使用されることが多いと思われます。
 その節によるリスクは、材を吟味することにより1Pと2Pの筋交いで
 あまり差違はないと考えて良いでしょう。
          (釘を含め金物止め箇所が増えればリスクが増えるともいえますが)
 
 
 座屈に関して、
 
 一般的な高さを3Pとすると
 筋交い長さは、1Pの筋交いを1.0とすると 2Pの筋交いは、1.14程度となります。

 同層間変形した時に受ける筋交い軸力は、
 1P筋交いの2倍の耐力壁である2Pの筋交いなので2倍・・・・
 
 とはならず筋交いの長さの比と同様となります。
 
 1割強程度の長さ伸びと軸力増大ならば大して差がないのではないかと思いますよね。


 しかし(簡略的に)
 座屈する応力(圧縮力)は、長さの2乗に反比例する
           (わかりやすく言うと 長さが2倍になれば 1/4の力で座屈する)
 という理論式があるので
 材の安全率から考えれば、3割程度2Pの筋交いの方が低くなる可能性があることを
 認識してほしいと思います。
 
 
 
 先の話の 
 この結果をどの様に認識するか 
 ですが

 何事も安全側に考察することが
 特に木造に関しては大切と思うので
            (施工と木材 考えなければ・・・・簡単かも?)
 
 実験値と理論値 いくら理論値をクリアしているとは言え
 安全率が低いものを採用することは気持ちの良いものではありませんよね。
         (許容応力度計算理論確立以前から2P筋交いの危険性を謳った技術書等から
          壁量計算当時から2P筋交いを採用しない方が良いとは思ってはいましたが)
 
 又、実験は1Pを基本とし壁量計算では
 2Pまでをいささか無理矢理理論値としているような感覚を受ける為
 2P筋交いを信頼できないのでは?
 と勝手に思ってしまいます。
 
 
 
 
 
 
 木造という構造と材料の諸々のリスクを加味すると
 先の
 ∥ / ∥(柱間が2P)  + ∥ \ ∥(柱間が2P)
 と
 ∥/∥\∥(柱間1P+1P)+ ∥/∥\∥(柱間1P+1P)
 では、
 当方では下記を採用した方が良いのではないか? 
 で図面を描いてます。
 
  <おまけ>
 仕様規定のなかには90角筋交いを用いたものもあります。
          (なぜか実験値データ公表されず?実験してない?)

 当方では、使用したことがありませんし 今後もないと思いますが
 大きな壁倍率筋交い 様々なリスクを加味すれば
 違う耐力壁の採用の方が良いと思ってしまいます。
          (見た目はとても強そうですけどね) 
 
   ※筋交い耐力壁について
    あくまで意匠設計屋の戯れ事で・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 

| 建事一考 | 09:42 PM | comments (1) | trackback (0) |

コメント

1Pは基本長さを示しているということはわかりました
このPは何を意味しているのでしょうか
椅子のようにPersonのPでしょうか

| Kei | EMAIL | URL | 2017/08/19 08:52 AM | Cqyh480I |


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