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住宅基礎の鉄筋組

 
 フックの必要性について
 
 
 基礎鉄筋組の後に綴ろうと思っていたのですが
 日数も立ち 建事一考として綴ります。

 

 建築の図面と違い
 文章を書く事にやたら時間がかかります(泣)
 伝え方の設計が悪いとつくづく思いつつ
 
 
 
 

 
 鉄筋コンクリートとは、
 引張力を鉄筋、圧縮力をコンクリートが受け持ち
 それぞれの欠点を補う構造体であることは、周知の通りです。
 (個別欠点とし鉄筋は、圧縮力には耐力を発揮する前に座屈
  コンクリートは、引張力には期待できず破断してしまう)
 
 その構造体に外力が加わった場合、
 コンクリートが崩壊してしまうと構造体そのものの崩壊(脆性破壊)に繋がるので
 コンクリートが圧縮力により壊れる前に
 鉄筋が引張力により壊れる様な事を基本としています。
 (壊れるという表現は、語弊がありますが判り安い表現とし使用しています。
  本来は、弾性、降伏、塑性等 構造的専門用語を用いなければならないのですが
  それは、構造の専門家にお任せしてあくまで素人言葉で)

 外力が加わることによる変形過程(崩壊過程)において
 鉄筋(主筋)の位置がズレたり移動したりしてしまう事と
 コンクリートが崩れ落ちてしまう事は、
 急激な耐力減少となる為、
 鉄筋の中で柱には帯(フープ)筋、梁にはあばら(スタラップ)筋が
 その様な事の防止策のひとつの役割を担っていると思われます。
                         ≪あばら筋は、脆性破壊防止策のひとつ≫

 住宅の基礎において
 立ち上がりの部分は、地中梁として扱われ
 縦筋は、あばら筋?扱いとなり
 木造の構造計算・・・許容応力度計算では
 フック付きの場合は、鉄筋に外力に抵抗可能な力(剪断力)を
 見込めることになっています。
         ≪フックの有無は、コンクリート耐力に鉄筋の耐力を加算するか否かの違い≫

 木造2階建て程度の基礎の場合
 建物重量が軽い事と諸仕様から地盤面からの立ち上がりが規定されている為
 その力は、コンクリートの耐力だけで計算上クリアすることが多く
 縦筋にフック無し基礎があると思われます。
 縦筋の構造上耐力を見込んでないならば無くても良いかという事に繋がりがちですが
 内部の力の流れを考えればあった方が良いでしょう。
 そもそも仕様規定で最低限は、決まっていますしね。
 
 
 許容応力度計算とは、
 理論上の弾性域での部材耐力(許容値)が外力より大きいことを
 確かめる計算をしています。

  -解り辛いので比喩で- 
  吊り下げ型バネ秤で100kgまでは吊り下げられるけれど
  誤差が大きいので30kgまでが使用限度(部材許容値)ですよ。
  30kg超える物(長期荷重)はダメですよ。
  但し瞬間的(短期荷重)に60kgまでは、吊り下げても良いですよ・・・って感じかな?
 
 又、ある条件さえクリアすれば(一般在来木造住宅程度ではないはず?)
 理論上の弾性域での部材耐力で充分に安全を担保しているのだから
 まれに想定以上の外力が加わったとしても安全であろうという考えと経験則に基づいて
 許容応力度計算以上の検討はしなくても良い事となっています。
                              ≪脆性破壊するかどうかは、?≫
  -比喩の続き-
  瞬間的に60kg超を吊り下げる事もなく
  秤としての機能は壊れてしまうかもしれないけれど
  100kgまでは吊り下がるし、いままでそんな重さの物なかったのだから
  秤としての機能は充分でないかい?・・・・って感じかな?
 

 実際の構造計算の許容値は、鋼材を除くと
 基準強度(比喩の100kg)の1/3(比喩の30kg)程度が長期荷重に対しての許容値で
 その倍が短期荷重(比喩の60kg)の許容値となっています。
 長期荷重とは、自重と積載荷重(用途に応じた室に置く物による想定荷重)で
 短期荷重とは、風と地震の力を荷重にした値です。(積雪は、地域によってどちらか)
 
 
 住宅の基礎のフックの話に・・・
 先に書いた通り
 構造計算してOKで充分な耐力があるのだから
 フック仕様は、コストと手間もかかるし必要ないでしょう・・・がフック無し基礎派
   優先順は、
   コスト→構造計算→フック無し かな?
   若しくは、上記の構造計算が仕様規定に・・・
    (仕様規定の場合、実際構造計算したらOUTなんて事もあるので要注意ですよ)
   当然コスト優先の設計施工業者にフック無し基礎が多いかと思われます。
 この考え方は、建築技術の筋とすれば何ら問題ないと思います・・・・が
 
 安全という観点からもう少し掘り下げて考えてみると
 
 建物がどの様に崩壊するか・・・たぶん誰にも判らないと思います。
  過去にありましたよね
  長期優良住宅の実大実験で倒壊してほしい方が残ってしまった例が
  この実験 木構造を牽引している大学の先生方が行っても
  素人目の倒壊の仕方は想定外らしいですから

 どこが壊れるかは判らなくても
 どこが壊れたらどうなるという様な崩壊想定は、可能でしょう。
 柱・梁が外れたら、折れたら 基礎が壊れたら・・どうなるの 
 という崩壊想定の優先度
 
 そんなことは、素人でも
 構造的に上部から地面に向かって優先度が上がること位理解できますよね(笑)。
 下部の支えがあって上部が成り立っているので
 地盤と基礎に何かあれば上部構造の強さは、無意味なものと成りかねません。
 その様なことから、
 外力が加わった時に基礎は、最後まで壊れてほしくない部位のひとつなので・・・
 
 フックは、必要という結論になります。
 理由は、前段からの流れの中に書いていますが
 たぶんわかり辛いので例え話で

 
 木材は、コンクリートと同様 脆性部材なので
 割り箸で一般的な曲げを例にして
 
 割り箸一本を折り曲げると折れ方は様々でしょうが
 大概、破断してしまうはずです。
 
 この様な壊れ方を脆性破壊(脆い壊れ方)といいます。
   その過程は、
    (ある程度力を加えて力を解放で)
   ①撓んでまた元に戻る状態・・・弾性域、この範囲で行うのが許容応力度計算
   ②撓んでそのままの状態・・・・塑性域
   ③破断 
   となります。
   たぶん大きく撓んだ②の状態をつくる力加減は難しいはず、
   バキっとすぐに③ではないかな?
   これが脆性部材の特徴です。
 
 そこでその割り箸にセロハンテープの様な物を巻いて同様に折り曲げてみます。
 (適度に巻き付けるという意味、沢山巻き付けたりテンションをかけて巻き付けたりすると
  違った意味の方向性に・・・・強くはなりますが・・・)
 当然、割り箸は折れてしまいますが、
 巻いてない物の様にふたつにバキっと破断する終局は減るはずです。
 このテープの様な作用が鉄筋の役割であり
 (あくまでテープの粘着力が鉄筋の付着力的作用、
  巻き付けることにより割り箸の断面をある程度保持するという意味で)
 脆性部材に靱性を持たせようとする効力を果たそうとしています。
 崩壊する過程で主に剪断力による崩壊は、バキっと破断する様な経過を辿る為、
 建物を構成する部材としては、避けるということが
 構造の基本とされていると思います。
 
 
 住宅の基礎の話にもどり・・・
 住宅の基礎の縦筋を別名『剪断補強筋』と呼びます。
 又、フック付きの物は、その効果を認められている為
 耐力を見込める事になっています。
 
 フックの必要性 もう判りますよね?
 基礎の優先度から許容応力度計算でOKでも
 それ以上に力が加わった時に
 割り箸の様にバキッっと破断する様な事は避けたいから
 フックを付けておいた方がそう成り難いから
 が主な理由である事を
 
 

 大概の仕様書には、フックが描かれています。
 しかし、鉄筋の部分が丸鋼での最低規格が謳われているので
 (今時、丸鋼で鉄筋組なんてないと思いますが)
 又、異形鉄筋にするとフック無しでよしとする仕様から
 フック無しが認められています。
 
 

 個人的には、異形鉄筋でもフック付きにすべきが持論ですが・・・
 無しでも良いという事であれば、無しが多くなることが必然でしょう。
 建築における法は、すごく曖昧な表現の最低限の基準です。
 ここでも安全は、無料では付いてこないと言えるのかもしれませんね。


 最後に
 長文の中におかしな所もあるかもしれません。
 その点は、御容赦を・・・・
 あくまで意匠設計屋が構造的見地から綴ってみました。
 
 
 
 
 
 
 
 

| 建事一考 | 07:50 PM | comments (1) | trackback (0) |

コメント

異型鉄筋の場合フックを付けなくても良しとする仕様とは何に書いてありますでしょうか?

| 小原 | EMAIL | URL | 2018/12/07 03:29 PM | UAZIkpT2 |


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